名古屋市中村区でビジネス目的の短期滞在ビザとは?

名古屋市中村区は名古屋駅を中心としたビジネス拠点であり、様々な企業が集積するエリアです。この地域で海外取引先との商談や契約調印、技術指導などの短期ビジネス活動を行う場合、「短期滞在ビザ(短期商用ビザ)」の取得が選択肢にあげられます。本記事では、行政書士の立場から、中村区における短期商用ビザの要件・申請手続き・実務上の注意点を解説します。

2017年青山学院大学法学部を卒業後、服飾業界にて約6年間勤務
2023年度行政書士試験に合格し、2024年7月に開業
そもそも短期滞在ビザ(短期商用)とは?
「短期滞在」ビザは日本に短期間滞在して観光や保養、親族訪問、講習や会合の参加等を行うための在留資格です。一般的には、観光ビザ、親族訪問ビザ、短期商用ビザ等と呼称されています。
その中でも短期商用ビザは、日本で報酬を得ないビジネス活動に限り許可される在留資格です。厳密に言えば、外国人が日本国外で行う主たる業務に関連して、その一環として日本国内で短期間(最大90日)で行う従たる業務を無報酬で従事する場合認められているものです。
通常の「技術・人文知識・国際業務」等の就労ビザとは「無報酬であること」、「長期の在留であること」「在留資格認定証明書交付申請が不要なこと」などの点で異なります。特に「無報酬であること」は重要なポイントで、日本で行われる活動の対価として資格外活動許可を得ずに報酬を得てしまった場合、不法就労助長罪に問われてしまう恐れがあります。
この短期滞在(短期商用)ビザは具体的には、以下のものが例として挙げられます。
- 外国の企業で働く外国人が日本に短期的に出張して、その外国企業のために商談・業務連絡などを行うケース
- 自社の製品を輸入販売した企業で働く外国人が、日本でアフターサービスを行うために滞在するケース
- 日本にある関連会社間の会議のために短期滞在するケース
「短期間」の解釈
ここで注意すべきなのは、仮に一回の短期滞在ビザの滞在期間が短期であっても、広く見て日本に滞在する期間の割合が多い場合は短期間とみなされない場合があるということです。例えば、「短期滞在」ビザで複数回の入国を繰り返し、反復的に報酬を受ける活動を繰り返している(若しくはしていると疑われてしまう)場合は就労目的とみなされ退去命令を受けたり、以後の上陸許可の可否に影響を受ける恐れもあります。実務上、1年間の滞在日数が合計して180日を超える場合、疑念を抱かれて上陸を拒否される恐れがありますので、その際は他の就労系ビザの取得も選択肢に入れるべきでしょう。
例外的なケース
入管法19条1項では、業として行われるものではない謝金、日常生活に伴う臨時の報酬は「報酬」から除かれると規定しています。例えば、外国人が日本で短期滞在ビザで来日して講演会や講義などに対する謝金や、日本において小説や絵画などの著作物を制作して得る謝金などは報酬としてみなされません。
しかしながら、これらの規定されているケースはあくまで例外的なものに過ぎず、ケースによっては報酬から除かれるか否かは専門的で高度な判断が求められる場合もあります。なので、基本的に金銭が発生する活動を日本で行う場合で、これらの規定に当てはまるか判断が難しい場合は「技術・人文知識・国際業務」などの就労系資格を取得する方向で検討すべきでしょう。
短期滞在ビザ(短期商用)を取得するには?
短期滞在ビザは、通常の就労系ビザと違い、日本で行われる在留資格認定証明書交付申請の対象になりません。なので、この短期滞在ビザで日本に上陸するには、事前に外国人の居住する日本大使館・領事館で外国人本人が「査証」を取得し、有効な旅券で日本に入国する必要があります。
また、日本国と査証免除協定を締結している国(査証免除国)の旅券所持者はこの申請自体が不要になる場合があります。この場合は日本の空港で審査が行われ、短期滞在ビザを取得することができます。2025年6月現在、査証免除国は全部で72か国存在します。
※長期滞在の就労系ビザの場合は、当然査証は免除にはなりませんので注意が必要です。
日本に入国するまでの流れ
日本に入国するまでの主な流れは以下の通りです。
書類の数や申請方法は大使館によって異なることがございますので、事前にHPや電話で確認しましょう。
外国人が居住する国の日本大使館・領事館で申請します。
審査期間はおおよそ1週間かかります。審査が通るとパスポートに査証が貼り付けられます。
査証には有効期限がありますので、期限内に日本に入国しましょう。
まとめ
短期商用の短期滞在ビザは「無報酬であること」「どのような活動をするのか」が大きなポイントで、場合によっては違法になってしまう恐れがあります。申請人本人が日本で行う活動がそもそもその在留資格(ビザ)に当てはまるのかの判断が重要になってきます。
短期商用ビザ申請でお困りの際は、専門家である行政書士へ早期相談することをおすすめします。適切な書類作成と審査官への効果的な主張構成が、許可取得への最短ルートです。