名古屋市中村区で働く外国人料理人のための「技能」ビザ申請ガイド
名古屋市中村区は、多様な文化が融合する活気あふれる地域として知られています。この地域では、様々な国籍の方々が暮らし、働いており、特に飲食業界では外国人料理人の需要が高まっています。本記事では、外国人料理人が名古屋市中村区で働くために必要な技能ビザについて、在留資格専門の行政書士が詳しく解説していきます。
2017年青山学院大学法学部を卒業後、服飾業界にて約6年間勤務
2023年度行政書士試験に合格し、2024年7月に開業
「技能」ビザとは
在留資格「技能」(以降、技能ビザと呼称します)は、「日本の企業等との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する活動」を行うためのものと定義されています。つまり、外国人の方が日本で特定の職業で働くための在留資格の一つです。その特定の職業は例えば、外国料理の料理人やパイロット、ワインのソムリエなどが挙げられます。
この在留資格を使って実際に日本で働いている外国人で圧倒的に多いのは「外国料理の料理人」です。名古屋市中村区には、外国の料理を提供するレストランが数多くあり、たくさんの外国人がこの技能ビザで在留しています。
技能ビザ取得の要件
技能ビザを取得するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。以下に「外国料理の料理人」を例に要件を詳しく見ていきましょう。
1. 調理する料理の特殊性
「外国料理の料理人」としての技能ビザの取得には、その料理人が調理する料理が外国で考案され、日本において特殊なものでなければなりません。
注意すべきなのは、このビザではどんな料理でも認められるというわけではないということです。
外国人料理人の活動内容は「料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務」と定められています。つまり、海外にルーツを持つ料理である必要があり、例えば和食の料理人は技能ビザとしては認められません。
また、料理の「本格性」も問われます。本国において何年も経験を積んだ料理人を必要としない料理は、許可されにくい傾向にあります。例えば日本風にアレンジされた「カレー」や「ラーメン」のような料理を提供するお店は避けた方が良いでしょう。
2. 実務経験年数
料理人としての技能ビザの取得には、10年以上(タイ料理の場合は5年)の実務経験が必要になります。
ここでのポイントは、単純な料理人としての実務経験ではなく、日本でこれから行おうとしている料理の分野と同じ分野での実務経験が求められるという点です。
例えば、フランス料理人として技能ビザを取得したい場合、フランス料理の実務経験が10年以上必要です。もしフランス料理で6年、イタリア料理で4年の経験があり、料理人としては10年の経験があっても、フランス料理だけ見ると10年にならないため条件を満たすことができません。
ただし、外国の教育機関(大学だけでなく料理の専門学校も含みます)で関連する料理の調理コースを専攻した年数も実務経験として年数に含めることができます。例えば、フランス料理の経験が7年でも、大学や専門学校でその料理の調理を3年以上専攻していれば、合計10年として計算されるので技能ビザの要件を満たすことになります。
また、実務経験年数は、過去の勤務先で発行してもらえる職歴証明書で証明することができます。
注意が必要なのは、この職歴証明書は過去に文書の偽造が多発したため、入国管理局はその信憑性を厳しく審査しているという点です。偽造されたものかどうかの確認のため、入国管理局が直接過去の勤務先に電話して、「本当にそのレストランが存在するか」「申請人は何年から何年まで在籍していたか」などの情報を確認することが多々あります。その際、その過去の勤務先の電話番号が古いため繋がらない場合や、電話に出た担当者が質問に答えられない場合、疑いがあるとみなされ申請が不許可になってしまいます。
また、過去の勤務先が閉店してしまっている場合は、申請人が職歴証明書を取得するのは難しいため、当時の雇用契約書などの職歴証明書の代わりになる資料で実務経験を立証する必要があるでしょう。
3. 報酬額
外国人料理人の給与は日本人が同じ仕事に従事する場合に受ける給与と同等額以上でなければなりません。この要件は、外国人であることを理由に不当に低い賃金で雇用されることを防ぐことを目的としています。
会社側は地域の賃金相場や同業他社の給与水準を考慮して、適切な報酬額を設定する必要があります。また、経験年数や技能レベルに応じて昇給の機会を設けるなど、長期的なキャリアパスを示すことも許可率を上げる要因になり得ます。
4. 店舗の規模と設備
技能ビザの要件として、店舗の規模や設備については特に定められていませんが、外国人が継続的かつ安定的に仕事ができるようにするための店舗の規模や調理設備が確保されていることも審査上重要視されています。どうしても規模が狭い店舗を職場として申請する場合は、例えば店舗外での事業展開も行っていることを示すなど、その職場で外国人が十分な業務量が確保できることを立証する資料が必要になります。また、レストラン内部の写真、見取り図、コースメニューなどを提出し、働く予定の職場が本格的な外国料理を出すお店だということもアピールする必要もあるでしょう。
名古屋市中村区には、様々な規模の飲食店がありますが、技能ビザの申請を考えている方は、事前にこれらの点に注意して就職先(転職先)を選ぶようにしましょう。
5. 店舗の人員構成
こちらも明確な規定があるわけではありませんが、働く店舗において申請人である外国人の料理人以外にホールや会計係として働く従業員がいることを示すことで許可率を上げることができます。
これは、入国管理局が審査上、外国人料理人が技能ビザで認められた活動(調理)以外の業務に従事する可能性が低くなっているか否かを重視しているためです。外国人料理人が調理以外の接客や清掃などの業務(いわゆる単純労働)に従事していると、それがビザの目的外活動とみなされ、不許可になってしまう恐れがあるのです。
申請人は雇用先が適切な人員配置を行っているか、料理人が調理に専念できる環境を整えているかどうかを事前にチェックしておくといいでしょう。
技能ビザ申請に必要な書類
技能ビザの申請に必要な書類は、外国人料理人を受け入れる企業の規模や、外国人料理人が海外にいるか日本にいるかによって異なります。
企業規模によるカテゴリー分類
まず、外国人料理人を受け入れる勤務先は、その規模に応じてカテゴリー1〜4のいずれかに分類されます。
このカテゴリーによって必要書類が大きく異なるため、最初に確認が必要になってきます。当事務所ではそのカテゴリーの分類や書類の内容は最初の面談の際に詳しく説明させて頂きます。
主な必要書類
「技能」ビザの申請にあたって必要な書類は大まかに以下に分類されます
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 申請人の過去の職歴を証明する書類(在職証明書など)
- 申請人の日本で行うお仕事の内容を明らかにする書類(労働条件を明示する文書など)
- 雇用先の会社の事業の内容を明らかにする文書(勤務先の案内書など)
上記で示した書類はあくまで一例です。前項で述べた雇用先のカテゴリーや申請の内容、申請人の状況などによって提出書類が変わっていきます。例えば、会社の規模や財務状況を証明する書類、事業計画書、外国人料理人の経歴書や資格証明書などが求められる場合があります。当事務所では最初のヒアリング後、お客様に合わせた必要書類リストをお渡ししています。
まとめ 名古屋市中村区で技能ビザを活用するために
名古屋市は様々な飲食店が存在しており、外国人の料理人にとっては非常に魅力的な場所です。「技能」ビザを取得して働くことで、本国で得たご自身の料理技術を活かしながら、日本でキャリアを発展させる機会を得ることができます。
しかし、技能ビザは様々な要件や手続きがあるため、個人の力だけで取得するにはどうしても労力と時間が掛かってしまいます。
当事務所では、必要書類の作成から実際の提出まで全力でサポート致します。どんな些細なことからでもご相談を承ります。ぜひお気軽にお問い合わせください。