【名古屋市中村区】行政書士が解説する帰化申請の流れと要件

帰化申請は、日本において外国人の方が「日本国籍」を取得し、より深く日本社会に根付くための重要な手続きです。 しかしながら、申請には膨大な書類の準備や法律上の要件の理解などが必要であり、また許可が下りるまでに時間がかかるなどの理由から、ハードルが高いと感じる外国人の方は多いのではないでしょうか?
この記事では名古屋市中村区における帰化申請の条件や流れを、行政書士の立場から分かりやすく解説していきます。

執筆者 谷崎健斗
在留資格(ビザ)に関する法的手続きを専門とする届出済行政書士です。名古屋市中村区を中心に活動しています。クライアントの皆様に、安心で確実な法的サポートを提供することを使命としています。
1. そもそも帰化申請とは?

日本では現在、様々な国籍の方が生活しており、令和6年度6月末時点での在留外国人の総数は約358万人と過去最高を記録しており、年々増え続けています。
こういった方々が日本国籍を取得するために必要な法の手続きが「帰化許可申請」です。日本に住む外国籍の方が、居住地(名古屋市中村区の場合は名古屋法務局)を管轄する法務局にて申請します。
帰化をすることで日本国民としての権利・義務を持つこととなります。永住権とは異なり、帰化申請以前の国籍は失います。
2. 帰化申請の主な要件

帰化申請には、満たすべき法的な「7つの要件」があります。順番にチェックしていきましょう
帰化申請の7つの基本要件
1,【居住要件】引き続き5年以上日本に住所を有すること
外国人の方は帰化申請をする時までに、引き続き5年以上日本に居住する必要があります。重要なのはこの「引き続き」の部分で、これは5年間の間に居住の中断(海外で一定期間生活するなど)がある場合はこの条件を満たさないと判断されてしまいます。
2,【能力要件】18歳以上で、本国法によって行為能力を有すること
帰化申請をする者は18歳以上であり、かつ本国法でによって能力を有していなければなりません。例えば、18歳であっても申請者の国の法律では成人年齢に達していないなど場合、この条件を満たしません。
18歳未満の場合であっても、その方の親が帰化申請をする際に一緒に申請する場合は、仮に親が許可を得た時点で「日本国民の子ども」ということになりますので、その場合は同時に許可を得られることになります。
3,【素行要件】素行が善良であること
「素行が善良である」とは、一般的な日本人と比較して劣らないことをいい、前科や非行歴、交通違反や納税義務などを厳しくチェックされます。軽い交通違反であっても審査上マイナスに判断されることもありますので注意が必要です。
4,【生計要件】自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること
申請者は、自分または家族によって生計をたてること(最低限度の生活をおくれること)ができなければなりません。
例えば専業主婦のような自力では生計を営んでいない者であっても、生計を一にする家族の資産や収入を総合的にみて最低限度の生活を送れると判断されれば、申請が認められるということになります。
5,【国籍喪失要件】国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
帰化申請をする外国人の方は、無国籍者であるか、もしくは日本国籍を得ることで前の国籍を失う者でなければなりません。
多くの国は、自国民が外国籍を取得すると自動的に国籍を失う仕組みになっていますが、例えば未成年は国籍喪失を認めない国や、そもそも難民で喪失手続きを取れない国などの例外もあります。ただし、特別な事情があると認めれる場合は、例外的にこの要件を満たさずとも許可を得られることもあります。
6, 【思想要件】日本国憲法を脅かすような危険な思想を持っていない者
申請者は、憲法や日本政府を暴力で破壊するような危険な行為や主張をする者であってはならず、またそういう主張をする組織に加入したことがない者でなければなりません。
7,【日本語能力要件】日常生活に不自由しない日本語を扱えること
こちらの要件は国籍法に要件として書かれているわけではありませんが、審査上日本語の読み書きや会話の能力が求められます。実際は「小学3年生以上の日本語能力」が一応の基準となっています。
帰化要件の緩和
申請者が例えば以下のような場合は、上記の7つの要件の一部が緩和されることがあります。
- 日本で生まれた者
- 元日本人
- 親が元日本人の子ども
- 日本人との婚姻から3年を経過した者
上記の緩和はあくまで一例です。その他にもいくつか条件が緩和されうるケースがあります。また、7つのうちどの条件が緩和されるかも場合によって異なります。当事務所では、面談の際にお客様の詳細の状況をお聞きし、緩和されるケースかどうかを確認し、その後の流れをご案内しています。
3. 帰化申請の流れ

実際に帰化申請をするにあたっての主な流れは以下の通りです。ただし、地域の法務局によって細かい部分の違いがある場合があります。
事前予約の上、法務局へ初回相談をします。
この際、帰化要件を満たしているかの判断をされ、必要書類の一覧表を手渡されます。
必要書類一覧表をもとに、書類を収集し、申請書を作成します。
書類の収集と作成が終了したら、事前予約の上法務局に申請します。
この際、書類に修正すべき部分や不備があれば後日再提出します。
申請が受け入れられてから数か月後に、法務局にて面接が行われます。
帰化申請の動機や申請内容についての確認が行われます。
審査期間中、申請人の住居・勤務先への訪問や、追加書類の提出を求められることがあります。
帰化が許可されると官報に結果が掲載され、法務局から電話での連絡があります。
その後、帰化届を提出すればすべての手続きは終了します。
4. 行政書士に依頼するメリット
帰化申請をするにあたって、行政書士に依頼するメリットは様々あります。
- 面倒な書類収集および作成の代行
帰化申請では、いろいろな役所から膨大な数の書類を収集しなければなりません。一人で申請する場合は、この収集作業を役所が開庁している平日に行わなければならず、それだけでも個人にとってはハードルが高くなってしまいます。
行政書士は、それらの書類収集を代行することができるので(一部本人しか収集できないものもあります)、一人で行うよりも非常に効率的に帰化申請を行うことができます。 - 法務局相談前の要件確認
通常、おひとりで申請される場合、まずは法務局への事前相談からスタートすることになります。その際、実は事前相談の内容は記録され、審査の内容に影響を与えることがあります。また、日本語能力を確かめるテストが行われることもあります。万全を期すためにも、法務局へ行かれる前に行政書士などの専門家に一度ご相談だけでも行っておくことをお勧めします。
※帰化許可申請の提出や面接は、原則申請者本人に行って頂く必要があります。行政書士が可能なサポートは、書類の収集・作成、法務欲への相談への同行、書類提出の際の同行などに限られます。
5. 帰化申請の注意点
書類を提出した=許可ではない
当然の話ではありますが、書類を法務局へ提出できた(=受理された)からと言って、必ずしも許可が下りるとは限りません。提出できたことは単に、形式上書類に不備がなかっただけのことで、帰化申請を許可するか否かは法務大臣の自由な裁量に委ねられているのです。
書類の内容の情報と事実が異なる
帰化申請で提出する書類の内容と区役所などに提出されている内容に食い違いがある場合、帰化申請の手続きが円滑に進まず、大幅に遅れてしまうことがあります。例えば、出生届に記載されている父母の名前が実際の名前と違っている場合が当てはまります。許可をできるだけ早く取得するためにも、食い違いが起きないように帰化申請前に是正できるものはしておくべきでしょう。
6. まとめ
名古屋市中村区で帰化申請をするには、上記の7つの要件(居住・能力・素行・生計・重国籍防止・思想・日本語力)をしっかり確認した上で、必要書類を漏れなく収集・作成し、スケジュールに余裕を持って行動することが肝心です。
行政書士に依頼することで、事前の要件や流れの確認、大量の書類の準備、面接やスケジュール管理の煩雑さをプロに任せて安心して進められます。
外国人の方にとって帰化申請は日本での人生を歩む大事なステップになります。 帰化申請を検討する方は、専門家に相談し、確実な日本国籍取得を目指しましょう。