名古屋市中村区で在留資格「定住者」を取得するための完全ガイド

~行政書士が徹底解説する要件・申請手続き・注意すべきポイントなど~
名古屋市中村区は自動車産業やIT企業が集積するビジネス拠点であり、日系人を中心に多くの「定住者」在留資格保持者が活躍しています。本記事では、行政書士の立場から、中村区での定住者ビザ取得の具体的要件を専門家の立場から詳しく解説します。

2017年青山学院大学法学部を卒業後、服飾業界にて約6年間勤務
2023年度行政書士試験に合格し、2024年7月に開業
そもそも在留資格「定住者」とは?

在留資格「定住者」(以降、定住者ビザと呼称)は、特別な事情を考慮して外国人の居住を認めるのが相当である場合に認められる在留資格です。通常、「技術・人文知識・国際業務」ビザのような在留資格では、どのような仕事をするのかに制限がありますが、こちらのビザはその制限がないのが最大の特徴です。
「定住者」ビザは主に告示定住と告示外定住に大別されます。以下に詳細を解説します。
告示定住と告示外定住
告示定住
告示定住は、法務大臣が予め告示定住をもって定める地位を有する者としての活動と定義されています(出入国在留管理庁HPを参照)。要するに国によって対象者が予め決められているということです。
【日系人】日本人の子として出生した者の実子(または実子の実子)であって素行が善良である者
これはいわゆる日系人が対象者となります。日系2世(親のいずれかが日本人)や日系3世(祖父母のいずれかが日本人)が主に認められており、例外的に4世が認められるケースもあります。
また日系人自身だけでなく、「日本人の配偶者等」ビザを持つ者と結婚した配偶者(日系2世の配偶者)およびそのさらに子供である日系3世の配偶者もこの告示に該当しており、定住者ビザを取得することができます。
「素行が善良である者」の要件については「永住者」ビザの記事で詳しく解説しておりますのでよろしければご覧ください。

第三国定住者による難民
第三国定住とは難民キャンプなどで国を逃れた難民を新たに第三国に移住させ、定住を認める制度のことです。こちらは在外公館で申請をし、特別査証と呼ばれるものが発行され、上陸が認められるものです。
その他
1年以上の在留期間が認められている「定住者」ビザを持つ者の実子(扶養を受けていて、未婚、未成年に限る)や、日本人・永住者・定住者・特別永住者の養子(6歳未満)、中国残留邦人(戦後に日本に帰ることなく中国に移住している者)とその実子等も「定住者」ビザの対象者です。
告示外定住者
前述した定住者告示には当たりませんが、「定住者」の在留資格が認められる場合があります。
1.難民認定されるケース
在留資格を有していない外国人が難民認定される場合は、告示外定住に該当し、「定住者」の在留資格が与えられます。しかしながら日本における難民認定率は非常に低く(令和5年度は約3%の許可率)、難民認定で定住者ビザを得るのは稀なケースと言えるでしょう。
2.日本人、永住者または特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留することを希望する者
「離婚定住」とも言われるこの要件は、次のいずれも該当する者が対象です。
- 3年以上の正常な婚姻関係が継続していたと認めれる者
「正常な婚姻関係」とは通常の夫婦としての家庭生活を営んでるか否かを意味します。別居していた期間あっても、夫婦としての交流や相互扶助があったと認めれれば許可される可能性はあります。 - 離婚後も生活を継続できる資産や技能があること
- 日常生活を不自由なく送ることができる日本語能力が備わっていること
こちらは特定の日本語能力試験に合格していることまでは問われず、意思の疎通ができる程度であれば許可され得ます。 - 公的義務を履行していること
年金や健康保険料の支払いなどが主に該当します。
※配偶者が死亡した場合も、告示外定住の対象となります。離婚定住の場合と同じ要件を満たしていることが求められます。
3.日本人の実子を監護・養育する者
こちらは「日本人実子定住」と言われるものです。例えば、日本人の愛人として外国人女性が出産したケースが考えられます。この場合、以下の要件を満たすことが求められます。
- 生活を維持できる資産や技能があること
離婚定住と違い、例えば生活保護が支給されている場合であっても、将来的に自活能力を備える計画を申請書において説明できれば、資産能力が十分とは言えなくても定住者ビザが認められる場合があります。 - 現に相当期間実子を監護・養育していることが認められる場合
「監護・養育」とは、親権者等が未成年者を監督し、保護することを指します。 - 日本人の実子の親権者であること
「日本人の実子」とは、実際に日本人と血縁関係にあることを指します。
※離婚定住の場合と違い、日本人との婚姻関係は要求されず、ゆえに3年間の正常な婚姻関係の要件も求められません。
4.日本人、永住者または特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者
これは婚姻が継続中ではあるが、夫婦に婚姻継続の意思が無くなった者、同居や相互扶助の活動が行われなくなり、婚姻関係を修復しうる可能性が無くなった場合等を指します。
要件は以下の通りで、①または②に該当し、③④両方に該当する必要があります。
- 3年以上の正常な婚姻関係が継続していたと認めれる者
- 正常な婚姻関係が継続後にDVによる被害を受けたと認められるもの
- 生活を継続できる資産や技能があること
- 公的義務を履行していること
5.その他
その他にも告示外定住で定められ得る類型は以下の通りです。
- 特別養子縁組の離縁により「日本人の配偶者」ビザを失った者(未成年を除く)
- 難民不認定処分を受けた後、1年間の在留資格「特定活動」の決定を受けた後、「定住者」在留資格変更許可申請を行った者
- 両親が帰国又は行方不明になった未成年および児童虐待を受けた未成年
- かつて告示定住としての「定住者」ビザで在留していた者
定住者ビザの本質と永住者との決定的差異
「永住者」ビザとは違い、「定住者」ビザは在留期間に制限があること(更新の必要性)、身分の変化(離婚や死別)で別のビザに変更する必要が出てくる点で大きく異なります。
比較項目 | 定住者 | 永住者 |
---|---|---|
在留期間 | 期限あり(最大5年) | 無期限 |
更新必要性 | 必須 | 不要(在留カードの更新は必要) |
取消リスク | 身分変化で失効 | 犯罪や届出義務違反、税金の滞納など |
まとめ
「定住者」ビザは様々な類型があり、外国人の方がどの類型に当てはまるのかをご自身で判断されるのは非常にハードルが高いと思われます。必要書類などもご自身の状況によって変わってきますので、「定住者」ビザをご検討中の方は事前に専門家に相談することをお勧めいたします。
初回相談も無料で承っておりますので、お困りの際は当行政書士事務所へ是非ご相談ください。在留資格申請の専門家が、あなたのビザ申請をトータルサポート致します。