【名古屋市中村区】日本人と離婚した外国人の在留資格は?

本ブログでは、様々な在留資格(以下、ビザと呼称します)を解説してきました。今回の記事では、日本人と離婚した外国人の事例を基にどのようなビザが想定されるかを一緒に見ていきましょう。

事例

フィリピン人女性のAさんは日本人の男性Bさんと2017年4月に日本で婚姻し、「日本人の配偶者等」というビザで結婚生活を営んでいました。しかし、Bさんの不貞行為が発覚したことにより、Aさんは2024年9月に離婚しました。
Aさんはフィリピン語、英語、日本語の読み書き、話すことができる。Aさんは離婚した後も日本に在留し続けたいと考えています。
この場合、Aさんにはどのような選択肢が考えられるでしょうか?

目次

「定住者」の在留資格の可能性

まず第一に考えられるのは在留資格「定住者」の取得です。このビザは色々な類型がありますが、その内のひとつに「離婚定住」と言われる日本人と離婚した外国人が日本に在留するための規定があります。

具体的には

  • 3年以上の正常な婚姻生活を営んでいたこと
  • 生活していけるだけの資産や技能を有していること
  • 過去に納税義務を怠っていないこと
  • 日常生活を不自由なく送ることができる日本語能力が備わっていること

などを満たしていることが求められます。
Aさんの場合は約7年間の婚姻生活があり、日本語能力も十分と考えられます。あとは十分な資産や技能を有し、納税義務を怠っていなければ「定住者」ビザを取得できる可能性があります。
※いずれの項目も、立証できなかったり、疑いが生じる場合は許可が得られない恐れがあるので注意が必要です。

また、BさんにDV被害にあっていた場合や、Bさんとの間に子供がいる場合は、例外として3年以上の婚姻生活がなくとも認められることがあります。

より詳しい各要件の解説はこちらの記事で紹介しておりますので、併せてご覧ください。

「技術・人文知識・国際業務」の可能性

Aさんが大学または短期大学卒業者である場合や、海外での業務経験がある場合は、「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得も選択肢に入ります。特に大学・短大卒の場合は、そこで学んだ内容と関連性のある業務のある雇用先が見つかれば、このビザを取得できる可能性が高いです。

また、Aさんは3言語を話すトリリンガルであるため、3年の実務経験(大卒・短大卒は不要)があれば通訳・翻訳業務に従事するための「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得できる可能性もあります。
さらに、語学検定試験結果などの語学力を裏付ける事実があれば審査上有利になります。持っていない場合で、残りの在留期限にまだ余裕がある場合は、受験をするのも検討するべきです。

「技術・人文知識・国際業務」ビザのより詳しい内容はこちらでも解説しています。

在留資格「日本人の配偶者等」などの可能性

Aさんが離婚後に日本人又は日本で在留する外国人と結婚を前提にした交際をしている場合は、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「家族滞在」などの在留資格を取得できる可能性があります。

注意が必要なのは、ビザを取得するためのいわゆる偽装結婚では当然認められないという点です。例えば、「日本人の配偶者等」ビザを取得するための条件の一つに、実質的な夫婦関係であることを資料によって示す必要が出てきます。夫婦のLINEでのやり取りの履歴やデートをしている写真、同居している証拠資料(光熱費や家賃の請求書など)等を提出することで、こちらから立証しなければなりません。特に、出会ってからすぐ結婚するような場合は疑われる恐れがありますので、より慎重な立証資料が必要になります。

注意すべきポイント

不利な事情があるケース

Aさんの過去の在留期間中に不利な事情がある場合は注意が必要です。例えば、過去に交通違反を起こしていた場合、深い反省をしており、2度とそのようなことを起こさない旨を記載した書面を提出するべきです。

配偶者に関する届出を行っているか

通常、日本で生活する外国人が離婚した(死別した場合も含む)場合は、14日以内配偶者に関する届出を行わなければなりません。万が一この届出を行っていない場合は、審査上不利になる恐れがありますので必ず行いましょう。

まとめ

本記事を見て頂くと分かるように、このケースだけで少なくとも5つの在留資格の選択肢がありました。それぞれの在留資格ごとに要件やポイント、提出書類等は大きく異なり、一度に把握するのは困難を極めます。明白に1つに絞ることができる場合を除いて、大抵は選択肢が無数にあるのが現状です。
在留資格(ビザ)申請でお困りの際は、当事務所のようなビザを専門とする行政書士事務所にご相談されることをお勧めいたします。ご相談は無料で承っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせください。

     執筆者 谷崎健斗



在留資格(ビザ)に関する法的手続きを専門とする届出済行政書士です。名古屋市中村区を中心に活動しています。クライアントの皆様に、安心で確実な法的サポートを提供することを使命としています。

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