「技術・人文知識・国際業務」ビザ 大学での勉強内容との関連性とは

名古屋市中村区は、名古屋駅を中心としたビジネスの要所であり、多くの企業がグローバルな人材を求めています。そのなかで、外国人が日本で専門的な業務に就くために必要となる在留資格のひとつが「技術・人文知識・国際業務」です。
このビザは「大学で学んだ内容」と「実際に行う予定の業務」との関連性がひとつの審査のポイントとして重視されています。本記事ではビザを専門とする行政書士の立場から、そのポイントについて詳しく解説していきます。

2017年青山学院大学法学部を卒業後、服飾業界にて約6年間勤務
2023年度行政書士試験に合格し、2024年7月に開業
そもそも「技術・人文知識・国際業務」在留資格とは?
在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、日本で働く外国人のための就労系在留資格の一つです。もともとは「技術」と「人文知識・国際業務」として分かれていましたが、企業内での部門異動や多様な業務形態に対応するため、現在は一つに統合されています。
この在留資格で認められる活動範囲は、理学・工学などの自然科学(技術)や、法律・経済・社会学などの人文科学に基づく専門的知識を要する業務(人文知識)、または外国の文化に基づく感受性や思考力が必要な業務(国際業務)です。
たとえば、システムエンジニア、研究者、法人営業、マーケティング、翻訳・通訳、語学指導、海外取引業務などが該当します。
このビザの大まかな概要は以下の記事でも解説しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

学んだ内容(実務経験)と業務の関連性
「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得できる方は、大学卒業者、専門学校卒業者、実務経験者の大きく3パターンに分けることができます。
そして、現実に「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するためには、そこで学んだ内容(実務の内容)と日本で従事する予定の業務との関連性がなければならないとされています。
例えば、プログラミングを専門学校で専攻していた者は、エンジニアとして会社で働くことができます。しかし一方で、同じくプログラミングを専攻していた者が、通訳・翻訳業務を主な業務として会社で働くことは、学んだ内容と仕事の関連性が低いとみなされ易く、許可が下り難いのが現状です。
以下に3パターンについて順に見ていきましょう。
1. 大学(または短大)卒業者の場合
行おうとしている業務に関連する科目を専攻し、大学を卒業していることが必要です。この場合、「大学を卒業」とは、学士又は短期大学以上の学位を取得した者を指しています。
この場合、上述した学んだ内容と業務内容の関連性については比較的緩やかに審査されています。というのも、専攻した科目と仕事内容が直接は一致しなくても、大学で履修した内容全体を見て、従事する仕事に必要な知識を習得したと判断される場合は許可される可能性が高いからです。
2.専門学校卒業者の場合
日本の専修学校の専門課程を修了している場合、大学卒業者と同様に申請することができます。
ただし、上記の大学卒業者と比べると、学んだ科目と業務内容の関連性が厳しく審査される傾向にあります。よって、専修学校で学んだ内容と従事する仕事内容の関連性を具体的資料(成績証明者や履修要綱など)によって慎重に立証する必要があります。
3.実務経験者の場合
学歴がない場合でも、行おうとしている業務に関して10年以上の実務経験がある方であれば申請することが可能です。
なお、通常専門的だとはみなされていない「技能実習」や「特定技能」での経験も、この10年の実務経験にカウントされうるという行政側の見解もあるため、「技能実習」や「特定技能」併せて10年以上従事していれば、要件を満たす可能性は高いです。
「国際業務」分野の場合
行おうとする業務が国際業務(通訳・翻訳・語学の指導・海外取引業務など)に該当する場合、3年以上の実務経験を有していれば申請することが可能です。
また「通訳・翻訳・語学の指導」に関して言えば、大学卒業の方は3年の実務経験は要件としては不要になります。
「関連性」以外のポイント
上述した関連性を満たしていても、下記のケースでは不許可になる場合があるので注意が必要です。
1.十分な業務量が存在しないケース
たとえ申請人に高い専門性があったとしても、会社で働く中でその専門性を活かす業務が少なく、それ故に単純労働(高い専門性や経験が必要とされない業務)の割合が多くなってしまうと不許可になる恐れがあります。
例えば、予約管理や通訳業務を行うホテルのフロントマンとして採用されたとしても、実際に行う業務の殆どが清掃や荷物運搬などの単純労働だった場合、資格該当性がないと判断されてしまいます。
2.日本人と同等の給与があること
給与に関しても基準が設けられており、日本人が受ける給与と同水準の給与が申請人に支払われる必要があります。
例えば、申請人が月額18万円の報酬を受ける旨の雇用契約が交わされている一方で、同種の業務内容に従事するとして採用される日本人の給与が20万円だった場合、不許可になってしまう可能性があります。
まとめ:行政書士が伝えたい「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得のポイント
- 「技術・人文知識・国際業務」ビザは、専門的知識や外国文化に基づく感受性を活かした業務に従事するための在留資格です。
- 学歴や実務経験、業務内容の関連性が厳しく審査されるため、十分な準備と説明が必要です。
- 名古屋市中村区での申請は、地域特性や企業の状況も踏まえた個別対応が求められます。
- 行政書士は、申請書類の作成から企業・本人へのアドバイスまで、ワンストップでサポートします。
名古屋市中村区は多くの企業が集まるエリアであり、外国人雇用のニーズも高まっています。しかし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審査は年々厳格化しており、要件を満たしていない場合や説明不足の場合は不許可となるリスクもあります。
当事務所は、申請者の学歴・職歴・業務内容の整理や、必要書類の作成、企業との契約内容の確認など、申請全体をトータルでサポートしています。
ビザ申請でお困りの際は、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。正確な要件整理と適切な書類作成が、許可取得への近道です。