名古屋市中村区で学ぶ留学生のための就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」取得ガイド
名古屋市中村区は、名古屋の中心部に位置し、様々な会社が集まるエリアです。この地域で学ぶ留学生の皆さんにとって、卒業後も日本で働き続けることは選択肢の1つではないでしょうか。それを実現するためには、在留資格の変更をする必要があります。留学生が取得する在留資格で特に多いのは、「技術・人文知識・国際業務」です。
この記事では、名古屋市中村区を中心に活動する行政書士としての専門知識を基に、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の取得に関する詳しい情報と、申請で気をつけるポイントを解説していきます。
2017年青山学院大学法学部を卒業後、服飾業界にて約6年間勤務
2023年度行政書士試験に合格し、2024年7月に開業
技術・人文知識・国際業務ビザについて
ビザの概要と対象者
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(以降「技術・人文知識・国際業務」ビザと呼称)は、規定された専門的な知識や技術を持つ外国人が日本で働くためのビザです。留学生の皆さんにとっても、このビザは卒業後の進路に欠かせない在留資格となっています。
このビザで働けるお仕事は、主に以下の3つの分野に分類されます。
- 理系の専門知識・技術が必要なお仕事(エンジニア、プログラマーなど)
- 文系の専門知識・技術が必要なお仕事(マーケティング、企画、営業など)
- 外国の文化に基づく感性や思考を活かす仕事(翻訳、海外取引業務など)
ビザを持つ人の状況
令和6年6月末のデータによると、日本には約331万人の中長期在留者がおり、そのうち約39万人(全体の1割以上)がこの「技術・人文知識・国際業務」ビザで滞在しています。仕事に就くことを目的とするビザの中では最も多く取得されており、日本の企業で働く外国人にとって重要な位置を占めています。
特に名古屋市中村区は、名古屋駅周辺のビジネス街として発展しており、多くの企業が集まっています。そのため、この地域で学ぶ留学生にとって、このビザの取得は特に大きな意味を持ちます。
ビザ取得の条件
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(ビザ)を取得するためは、いくつかの条件を満たしている必要があります。以下に順に見ていきましょう。
学歴の条件
- 大学を卒業していること
- 日本の専門学校を卒業していること(専門士の称号が必要)
また、この学歴要件を満たしていない場合でも、所属機関で行う予定の業務について10年以上(「国際業務」にあたっては、3年)の職歴を立証(過去の勤務先発行の職務履歴書など)できれば、「技術・人文知識・国際業務」ビザを所得することが可能です。
仕事内容の条件
実は上述した学歴の条件において、申請人が単に大学や専門学校を卒業しているだけでは要件を満たすことはできません。大学を卒業したことに加えて、日本で従事する予定のお仕事が自分が大学や専門学校で学んだ専門分野と関連している必要があるのです。例えばエンジニアのお仕事に就きたい場合は、工学部などでエンジニアの業務に関連する分野を学んでいなければなりません。
ちなみに、専門学校卒業の場合、審査上その関連性が大学卒業よりも厳しく見られる傾向があります。
また、「技術・人文知識・国際業務」ビザが想定している活動内容は、いわゆるホワイトカラー(頭脳労働)のお仕事です。例えば、工場のラインでの単純な製造業務や、店舗におけるレジ打ち、清掃業務などはいかに本人に学歴や職歴があっても許可を得ることはできないことに注意が必要です。
給与の条件
給与に関しては、同じ所属機関で同じ業務に従事する日本人と同等以上を受け取る必要があります。会社やその業種によっても多少異なりますが、名古屋市中村区の場合、一般的に月額20万円以上が目安となります。逆に、給与が働く予定の場所の都道府県の法定最低賃金を割り込んでいれば不許可になる可能性が高いと言えるでしょう(令和6年10月1日現在、愛知県は最低賃金が1077円)。
申請人本人に限らず、雇い主である会社側も常に予定されている給与は条件を満たしているかに注意を払わなければなりません。
就職先の条件
申請人である本人以外にも、就職する予定の会社の経営が安定しているかどうかも審査のポイントになります。名古屋市中村区にはたくさんの優良企業がありますが、特に新しくできたばかりの会社などに就職する場合は、その会社の経営状況をしっかり確認しましょう。
具体的に経営の安定性を立証するためには、通常、代表者の確定申告書や事業用の通帳のコピーなどを提出しますが、設立したばかりの企業に就職する場合、それらを資料として提出することはできません。このため、その場合は事業計画書やその他資料(月次決算書類など)によって会社の安定性をアピールする必要があります。
不許可にならないためにも、上記のポイントを踏まえて行政書士などの専門家とじっくり相談しながら適切な申請書類の準備を進めていきましょう。
ビザ申請の手順
名古屋市中村区で学ぶ留学生が「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得するための手順は以下の通りです。
1. 就職活動と内定
留学生は、通常、大学や専門学校に在学中から就職活動を始めます。多くの教育機関が留学生向けの就職支援を行っており、また地域で合同企業説明会や就職フェアを行っている場所もあります。
まずは就職活動を通して内定を受け取りましょう。
2. 雇用契約の締結
内定後は会社との雇用契約を結びます。結んだ雇用契約書には、予定しているお仕事の内容、給与、勤務地などが記載されます。名古屋市の会社は外国人雇用の経験が豊富な場合が多く、外国人にとってある程度の安心感はあるとは思いますが、契約内容が取得したいビザの要件に合っているかどうかを入念に確認しましょう。
また、この雇用契約を結んだ段階ではまだ正式にその会社で働くための就労ビザを取得していないことに注意が必要です。
3. 在留資格変更許可申請(ビザ変更申請)書類の準備
必要な書類は以下のようなものがあります。
- 在留資格変更許可申請書
- パスポート
- 在留カード
- 卒業証明書または卒業見込証明書
- 成績証明書
- 雇用契約書
- 会社の登記簿謄本
- 会社の決算報告書
これらの書類以外にも、申請人や就職先の会社の状況によって提出すべき書類は変わってきます。また、専門家の判断で提出した方が許可率が高まる書類もいくつか存在します。当事務所では、最初の面談で申請人様の状況を綿密にヒアリングし、必要な書類をご案内させて頂きます。
4. 申請書類の提出
毎年、留学生の在留資格変更許可申請は12月から受付が開始されます。書類作成には準備から時間が掛かるので、円滑に就労ビザへ移行するためにも、行政書士など専門家へのご相談は余裕を持ってして頂くのが望ましいでしょう。
準備が完了した書類は名古屋市港区の名古屋出入国在留管理局に提出します。この提出も特別な資格を持った行政書士(申請取次行政書士)が申請人に代わって提出することができます。基本的に、申請人ご自身での提出は不要です。
5. 審査と結果
申請すると実際に結果が出るまで、通常1か月から長くて3ヶ月ほど掛かることもあります。
申請が許可されると、新しい在留カードが発行され、在留資格が「留学」から「技術・人文知識・国際業務」に変更になります。しかし、正式な許可は卒業後(3月末)に行われるため、大学や専門学校を卒業するまでは「留学」ビザで滞在することになります。
ビザ取得後の注意点
在留期間の更新
このビザの在留期間は1年、3年、5年のいずれかになります。在留期限が切れる前に在留資格の更新申請が必要です。引っ越しなどで他県に離れない限り、更新申請は同じく名古屋出入国在留管理局で行います。
転職し、仕事内容が変わる場合
仕事の内容が大きく変わる場合(例えば、エンジニアから営業職への転向など)は、在留資格の変更許可申請が必要になります。実際に転職先で働き始める前に変更申請を終えて、許可を得る必要があります。
ちなみに、仕事の内容は変わらないが、勤務先の会社を変えたい場合は、「契約機関変更の届出」という別の申請を行います。
最後に
名古屋市中村区は、企業も多く、留学生が卒業後にキャリアを築いていくのに適した地域です。ビザを取得する手続きは複雑かつ時間が掛かりますが、行政書士などの専門家と一緒に計画的に準備を進めていけば、必ず道は開けます。
なお、ビザに関する規則は変更されることがあります。最新の情報は出入国在留管理庁のウェブサイトで確認し、不明な点があれば、どんなことでもお気軽にご相談頂けると幸いです。
ご依頼頂いた暁には、皆さんの新しいお仕事が良いスタートを切れるよう当事務所が全力でサポートさせて頂きます。